とにかく面白い本が読みたいという方に、極上のサスペンス作品をご紹介!

太田愛著『犯罪者 クリミナル(上・下)』(角川書店)をお勧めします。
著者は『相棒』や『TRICK』等のドラマを手掛けた脚本家でもあり、この小説もスピーディーでドラマティカルな展開が繰り広げられ、映像化すれば映えそうなシーンが盛りだくさんです。
物語は白昼に起きた通り魔事件から始まります。多数の被害者がでたその事件の生き残りの少年・修司。その後彼は執拗に命を狙われることになり、その過程で出会ったはぐれ者の刑事・相馬と元テレビ屋のフリーライター・鑓水とともに事件の真相を探ります。そのうちにその通り魔事件が、世間を騒がせる薬害事件と政治家と大企業との癒着問題に関係していることが発覚し、彼らはその黒幕に立ち向かっていくのです。
とにかくこれからどうなるのだろうと先の読めないどんでん返しの展開が続き、一気読みしたくなるほどハラハラドキドキとした気分が味わえます。また、登場人物たちの背景も深く書かれており、それぞれとても魅力的な人物に描かれています。3人のやり取りもテンポ良くて楽しいので、読んでいると彼らに好きな俳優さんをキャスティングしてみたくなるのでは?
エンターテイメント作品としても、大企業の闇を描いた社会派の作品としても楽しめること請け合いです。この小説は文庫化もされていますし、続編も出ているので、サスペンス好きな方にはせひ一度手に取ってもらいたいと思います。